2025年12月5日(金)

World Energy Watch

2025年1月17日

西部諸州で開発が進む太陽光発電

 米国ではバイデン政権が目標とする2035年全電源脱炭素化、50年温室効果ガス実質排出量ゼロ達成のため、大規模太陽光発電設備設置案が具体化している。

 電化の進展、データーセンター新設による電力需要増も太陽光発電設備の導入を急がせている。その設置場所はカリフォルニア州からモンタナ州に広がる西部11州の連邦政府所有地だ。

 米国のロッキー山脈から西側では、連邦政府が依然多くの土地を保有している。米国下院の報告書によると、全米で連邦政府が保有する土地は、6億4000万エーカー(約260万平方キロメートル〈km2〉)。米国の国土22億7000万エーカーの28%を占める。

 内務省土地管理局(BLM)、国立公園管理局、国防省などが管理を分担している。BLMは2億4400万エーカーを管理し、その大半は西部に位置している。

 その広さは全米の約10分の1、約100万km2、日本の面積の3倍近い。ネバダ州、ユタ州ではBLMが、大半の土地を管理している(図-1の茶色の部分)。

 バイデン政権は、このBLM管理地にメガソーラーを設置する計画を推進している。

 BLMが昨年クリスマス前に発表した計画では、太陽光発電設備設置が優先される対象となる面積はまず87万エーカー。1000キロワット(kW)の設備には8.5エーカー必要とされることから、BLMは当初の計画地だけで1億kW超の設備を設置可能としている。

 太陽光発電に係る産業団体などからは、BLM案を歓迎する声が出ているが、地元民からは反対の声もあがる。

太陽光発電に反対する住民の声

 24年の大統領選挙ではネバダ州は接戦州のひとつだったが、トランプが20年ぶりに共和党に勝利をもたらした。

 その勝因の一つは、バイデン政権の太陽光発電事業に反発した田舎に住む人たちが共和党を支持したためだ。同州の都市部では共和党と民主党は競っていたが、田舎では約7割がトランプ支持だった。

 大統領選時の世論調査では、気候変動を重要な課題として挙げる州民は13%しかおらず、経済、インフレ、移民などが優先課題とされていた。


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