2024年12月6日付の朝日新聞朝刊社会面のトップ記事は、「山を削るメガソーラー」とのタイトルで、福島市で進む大規模太陽光発電設備導入の問題を伝えていた。景観の悪化、土砂崩れの懸念などだ。
朝日新聞は25年1月5日付朝刊の「フロントライン」でも「太陽光と環境 共生は」「釧路湿原わきに「メガソーラーの海」規制後手」として再度取り上げ、太陽光発電の規制について報じた。地域の理解に基づき適切な規制が必要との主張だ。
再生可能エネルギー(再エネ)を自然エネルギーと呼ぶことが多い朝日の記事だが、さすがに両記事では再エネと呼び、自然エネルギーとは呼んでいない。まあ、それはそうだろう。自然を壊すのに自然エネルギーと呼ぶのは皮肉すぎる。
「雇用がない」「地元経済に効果がない」「景観を考えて欲しい」太陽光発電設備に反対する地元民の声だ。これは日本ではなく、米国ネバダ州の住民の声だ。
バイデン政権は、米国西部の連邦政府保有地に大規模太陽光発電設備を導入する「新西部太陽光計画」を進めている。その計画に反対する住民だ。
トランプ次期大統領が「掘って掘って掘りまくれ」と化石燃料採掘に熱心で再エネには冷淡なことから、太陽光発電導入反対派からは、トランプが計画を見直すのではと期待する声もあがる。対中強硬派のトランプが、大半が中国製の太陽光パネル導入を止めるためバイデンの再エネ推進と支援制度を見直すのではとの期待もある。
しかし、問題は複雑だ。パネルが米国の制裁‐課税対象となっている中国企業は、相次いで米国でのパネルの現地生産に乗り出してきた。大半の工場は共和党が地盤とする州に建設されている。
製造工場で多くの雇用が期待されている中で、地元は中国企業の進出を歓迎している。中国企業はバイデン政権で導入された巨額の補助金を受け取ることが可能だ。トランプの米国は中国企業を税金で助けるのだろうか。トランプはどう対処するのだろうか。