2025年6月15日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年1月24日

 パレスチナ問題は、暴力ではなく話し合いを通じて解決されるべきだというのは正論であるが、勝利の美酒に酔っているイスラエルのユダヤ人の耳には届かないであろう。イスラエル贔屓のトランプ大統領では米国がブレーキを掛けるはずもない。

 もちろん、この論説も指摘している通り、パレスチナ側も腐敗したパレスチナ自治政府の改革は交渉による解決のために必要不可欠だが、そういう話も全く聞こえて来ない。パレスチナ問題の解決は、引き続き遠い夢であり、その間もガザで大勢のパレスチナ人が殺されていくだろう。しかし、ハマスも相当なダメージを受けており、イスラエル軍の占領を認めた形での一時的な休戦が成立する可能性はある。

どうなる?中東情勢

 中東の人口の70%はアラブ人だが、2025年の中東は勝ち誇るイスラエル、漁夫の利を得たトルコ、そして窮地に追い込まれたイランと非アラブ系の民族がどう動くかによって形作られて行くだろう。イスラエルは引き続き強硬な行動をとり続けて中東の台風の目であり続けるが、トルコはシリアのクルド勢力を掃討することで満足するのか、オスマン・トルコ帝国の再建を夢見ているのか。

 そして、イスラエルにヒズボラ等の代理勢力による外周防衛ネットワークを無力化され、国内の防空網も破壊され窮地のイランはどうするのか。核武装に舵を切るか。しかも、イスラエルがイランに対して一方的に次の一手を打つ可能性も高い。25年の中東は、ますます混迷を深めると思われる。

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