2025年12月5日(金)

脳が長持ちする会話

2025年1月24日

「最近どう?」のムチャ振りも難なくかわせる

 会話の口火を切るとき、基本的に選択肢は「自分のことを話す」か「相手に尋ねる」かの二つです。今お伝えしたように自分から話すパターンもあれば、「そういえば、引越しは済みました?」と質問し、相手の直近話に会話の流れを委ねることもできます。

 直近の話題でなくても、「そういえば、広島カープ強いですね、理由って何ですか?」と、自分が知っている相手の好みや趣味、推し活などに関する最新情報を組み入れて、質問することもできます。

 過去にそういう会話を一度でも交わしていないと難しいとは思いますが、こんなふうに言葉を掛けられたら、誰でも「自分のカープ好きを覚えていてくれたんだ」とうれしくなります。そうなれば、もうこちらが無理に話そうとしなくても、相手が会話をリードしてくれる可能性が高まります。沈黙を恐れることなどなくなるのです。

 逆に、「最近どう?」と質問されたとします。このような漠然とした丸投げ質問のシチュエーションはよくありますが、これも「そういえば」が救世主になります。

 「最近どう?」は、「ちょっとお話ししません?」の合図です。自分の直近の話で返しても良いし、相手が話したいであろうことを「で、あなたはどう?」と尋ねてあげても良いのです。相手が映画好きなことを思い出したら、「そういえば、〇〇監督の新作観た?」と返すと会話が広がります。

 仕事中に限らず、自宅マンションの前でご近所さんと一緒になるなど、プライベートでも起こり得るシチュエーションです。短い時間の中で脳をフル回転させるチャンスと捉えて楽しむか、何もしないか。たったこれだけのことですが、将来の脳の認知機能に差が出る可能性が高まります。

脳が長持ちする会話
大武 美保子:著 ウェッジ
定価:1,870円(税込み)
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