2025年12月5日(金)

Wedge OPINION

2025年2月11日

 首相は帰国後の9日午前、NHKの「日曜討論」でも、「買収ではなく投資を行い、アメリカの企業であり続けて高い品質のものを作ることが大統領にしてみれば大事だ」と述べ、トランプ氏の代弁をしたものの、合意内容、日鉄との協議の詳細にはなお言及を避けた。

首脳会談の成否、買収問題にかかる

 日本のメディアの受け止め方もさまざまだ。「首相は局面転換に成功した」(読売新聞、2月9日)という前向きの評価の一方で、「再び動き出す可能性が出てきたが、すんなり進む保証はない」(日本経済新聞、同)という冷ややかな分析もある。

 「投資」提案は日本側から伝え、米側が賛同したといわれるが、日鉄側がコメントを避けていることも憶測を呼ぶ結果になっている。「現行の買収計画のスキームが変わるわけではない」(日経、2月8日夕刊)という日鉄幹部の非公式なコメントも伝えられている。

 この問題は週明けになってあらたな動きがみられた。

 トランプ大統領が「(日鉄の株は)だれも過半数をもつことはできない」(9日、大統領専用機内)と述べ、完全買収を認めない考えを改めて示した。

 林芳正官房長官は10日午前の記者会見で、日鉄の提案に関して「大胆な投資で優れた製品の生産を行い日米がウィンウィンになることができる」と述べたが、完全買収かどうかについてはなかった。

 週明け以降に行われる大統領と日鉄側との話し合いが当面の焦点となるが、協議が整った場合、石破首相のリーダーシップが賞賛され、いっそうの追い風となる。こじれた場合、米側の反発が強まり、窮地に追い込まれる。

 首脳会談の採点は、日鉄と米国側の交渉の展開にかかっているというべきだろう。

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