トランプが世界中の戦争を止める約束を果たせば、貿易、援助、移民に関する全ての懸念は払拭され得る。しかし世界の平和創造者になることは米国の領土拡大野望と相いれない。
全GS諸国が拒否する考えは「帝国主義」だ。米国領土拡大というトランプの計画が真剣かつ言葉通りならGS諸国のトランプへの称賛はすぐに消える。
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2期目のトランプ政権は、発足後1カ月も経たないうちに既に大きな破壊力と混乱をもたらしており、その影響は本質的で長期にわたる。しかし日本では、トランプがもたらしつつある不可逆的な影響に対する危機感が少し不足しているように思われる。
同時に、もう一つ重要なのはトランプが何をするかを予想するのではなく、日本が何をできるかを考え提案することだ。以下に、いくつか提案してみたい。
①チャレンジ・シェアリング時代の到来
米国は能力的には可能なのに、紛争解決に関与する意思が減退している。また、トランプは「対外強硬派」ではなく米国の国益に直接関係しない米軍の海外戦闘に極めて慎重で同盟関係に本質的に冷たい。
世界は、米国が紛争を解決しコストを同盟国・同志国が分担するバーデン・シェアリングから、紛争解決自体に同盟国・同志国が関与するチャレンジ・シェアリングの時代に不可逆的に変化する。
ウクライナ戦争停戦ではロシアの再侵攻防止が鍵となるが、米国は汗をかかないので、欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国がウクライナに停戦監視のために軍を送り、ロシアが攻撃すればNATOの共同防衛がトリガーされるような仕組みが必要だが、この成否がチャレンジ・シェアリングの未来を占う最初のテストだろう。
同時にこれは、米国が「力」で解決を実現する時代から、国際社会の多数派の支持で解決策を正当化する時代になることをも意味する。そのためには、影響力の強いグローバルサウス取り込みが必須だ。日本はその先頭に立つべきだろう。
②米国第一主義
ルビオ国務長官は公聴会で国務省の行動は米国を「より強く、より安全に、より繁栄させるかどうか」で判断される、と語った。「同盟だから」といった判断はない。あくまで具体的行動で米国第一主義に貢献するかどうかで評価するのだ。