欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長の第2期目がスタートし、最初の外国訪問にインドを選んだ。なぜインドなのだろうか。
それは、インドが重要性を増しつつあるからだ。国際通貨基金(IMF)の予測では、インドは、今年、日本を抜いて世界第4位の国内総生産(GDP)になるだろう。国防費ではすでに世界第3位である。重要なのは間違いない。しかし、それだけが理由ではなさそうだ。
トランプと疎遠となるヨーロッパ
フォンデアライエン委員長がインド訪問を決めたことが報道に出たのは今年の1月21日である。トランプ大統領の就任式1月20日の直後だ。どうもそれと関係がありそうである。実は、トランプ政権誕生で、EUは追い詰められつつある、との認識がヨーロッパ側にあるからだ。
トランプ大統領の就任式では、QUAD(クアッド)からは日印豪各国の外相が招かれた。中国からも副主席が出席した。アルゼンチンのミレイ大統領もきた。しかし、ヨーロッパから招かれたのは、すべて「極右」とされる面々だ。イタリアはメローニ首相だし、ベルギー、イギリス、フランス、ドイツからの招待者も「極右」政党とされる政党の代表がならんだ。
その後も、このような傾向は続いた。トランプ大統領が受け入れた外国首脳との2国間会談を見ると、イスラエルのネタニヤフ首相で、日本の石破首相、ヨルダンのアブドラ国王、インドのモディ首相と続いてきた。
インド太平洋から中東の指導者ばかりだ。歴代アメリカの政権は、最初にイギリスとコンタクトをとることが多かった。ところが今回は含まれていない。電話会談も、トランプ大統領が最初にかけたのは、サウジアラビアだった。
さらに、2月にヨーロッパで行われたミュンヘン安全保障会議で演説したバンス副大統領は、ヨーロッパのやり方を批判したのである。ここまでくれば、ヨーロッパとアメリカの関係が緊張していることが明確である。