2025年4月11日(金)

インドから見た世界のリアル

2025年2月25日

世論調査でもはっきりと

 実は、このような傾向は、ヨーロッパでは、すでに把握されつつあった。2025年1月にヨーロッパの研究機関、ヨーロッパ外交評議会が公表した世論調査のデータがある。

 この調査では、22カ国の人々(残念ながら日本は含まれていない)に対して、「トランプ大統領がアメリカの大統領に選ばれたことは、あなたの国にとって、いいこと『good』ですか、悪いこと『bad』ですか?」という問いをした。その問いに対して、EU11カ国では22%の人しか「good」と答えず、38%が「bad」と答え、イギリスでも15%対54%、スイスが23%対34%であった。ヨーロッパでは明らかに人気がない。日本は含まれていないのだが、韓国は調査対象で11%が「good」で67%が「bad」である。日本のメディアの報道の仕方を見ると、日本も韓国に近い意見なのかもしれない。

米国のトランプ大統領に対するヨーロッパとグローバルサウスの意見は異なる

 しかし、この調査が面白いところは、グローバルサウスの意見が違うことを明確に示した点である。インドネシアは30%が「good」で、「bad」は16%。トルコは35%対30%。南アフリカは36%対24%。ブラジルは43%対25%で、すべて「good」の方が多い。

 そして極めつけはサウジアラビアとインドである。サウジアラビアでは61%が「good」で、「bad」はわずか10%。そしてインドは、84%が「good」で、「bad」はわずか6%なのである。

 驚くべきことに、中国でも46%対18%。ロシアでも49%対8%。ウクライナでも26%対20%で、「good」が上回った。

 こうしてみると、ヨーロッパと韓国はトランプ大統領が嫌いであるが、他の国々はトランプ大統領が好きである。トランプ大統領から見ると、ヨーロッパを敵視する可能性があるデータだ。そして、それは今、アメリカとヨーロッパの行動に現れているといっていい。

追い詰められるヨーロッパ

 ただ、ヨーロッパにとって、現在の状況は危機的状況だ。そもそも、ロシアのウクライナ侵略に対して、ヨーロッパの結束は、十分とは言えない。

 ロシアの侵略を阻止し、打ち負かすことは、ウクライナだけではなく、ヨーロッパ全域に対して必要なことだ。ウクライナを占領した後、ロシアがもっと侵略の範囲を拡大するかもしれないからだ。しかし、その割には、ヨーロッパ各国は、十分な軍事費の負担をしていない。

 例えばロシアはGDPの7%を軍事費に投入しているとみられているが、ヨーロッパのほとんどの国の軍事費は、GDPの2%に達するかどうかを議論している。だから、アメリカが支援してくれなければ、ヨーロッパは、自分自身も十分に守れる体制にはないことになる。


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