2025年4月17日(木)

インドから見た世界のリアル

2025年2月25日

明日の日本?

 ところが、インドは、甘くない。そういったヨーロッパの影響力の低下度を見て、取引の条件を厳しくしている。

 EUとインドとの間では、自由貿易協定の交渉が進められてきたが、いつまでたっても妥結しない。今回のフォンデアライエン議長の訪問で締結されるか注目だが、インドとの交渉の難しさを示してもいる。

 インドは、もともと社会主義の国で、小規模な商業を守ろうとする傾向が強い。だから関税は高く、規制も多く、複雑だ。モディ首相自身は、規制を緩和して、より大規模なビジネスに道を開くことに賛成とみられるが、そういったことをすると、インド国内で、いつも大規模なデモが起き、選挙でも不利になる。だから、なかなか規制を緩和できないのである。

 しかも、トランプ大統領が、関税を武器にする傾向を示す中で、もともと関税が高めのインドは、関税を低くする気にならないだろう。それに、インドは関税を低くしなくても、ある程度は自然に台頭していくのだ。

 一方、ヨーロッパは、まだ進んだところもたくさんあるのだが、長い目で見れば、改革しなければならない状態だ。しかし、その道は、徐々に険しいものになりつつある。

 もしかしたら、このようなヨーロッパが直面する問題は、明日も日本かもしれない、そういう危機感を持って、アメリカが日本に厳しくなる前に、またはインドが日本への評価を下げてしまう前に、日本の国力増強と、友好国との連携強化に、どんどん手を打つべきであろう。ヨーロッパとインドの外交の動きは、そうした教訓を日本にも、もたらすものといえる。

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る