同盟国であるなしに関わらず、これに当たらない国は関心外で見捨てられる。日本は大丈夫だが、米国の同盟国フィリピンや他の東南アジアにつきトランプ関係者が発言するのは稀だ。
それゆえ、「東南アジアは日本が仕切る」くらいの覚悟と行動が求められている。インド・インドネシア・日本・豪州からなる「アジア版クアッド」を作り、最近主要新興国BRICSに加入したインドネシアを組織的に取り込むべきだ。
また、フィリピンの支援は、台湾有事の際の役割を考えれば大変に重要で、同国が進める東南アジア諸国の沿岸警備隊の連携を支援し南シナ海で共同訓練をするのも良い。東南アジア諸国連合(ASEAN)が南シナ海問題を国際仲裁裁判に持ち込むよう働きかけるのも一案だ。
このような行動は米国をより強く、安全に、より繫栄させるので、日米同盟強化にも資する。
③米国版「戦狼」外交
トランプはグリーンランドやパナマ運河の米国支配を主張しそのために軍事力使用さえ否定しない。米国は実際の武力行使に至っていないという点でしかロシアと異ならない。
この背景には、大国は自分にとり望ましい秩序を作ってよいという「選民思想」がある。トランプ自身、暗殺を生き延び神に選ばれたと思っている。
第二次世界大戦後の世界が一応安定してきたのは二度の大戦の教訓から、主権国家の平等と領土の一体性維持、武力による一方的変更の禁止等の基本ルールにコンセンサスができ、それを米国が「力」で維持してきたからだ。その米国が秩序維持の努力を止めるだけでなく、秩序を破壊する側に回ることの影響は大きい。戦後秩序は根本的に崩れ、米国は積み重ねてきた善行と信頼を不可逆的に失う。
これは、同盟国日本にとり大変に深刻で、多数派統治に対応するグローバルサウス諸国の取り込みは待ったなしだ。