2025年3月13日(木)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2025年3月13日

改正漁業法に基づく科学的資源管理の導入

 過大すぎる枠の設定に識者からの批判の声が上がる中、15年漁期からようやく科学者からの枠の勧告(ABC)に一応即した漁獲枠が設定されるようになる。さらに20年末の改正漁業法施行を受け、「最大持続生産量(Maximum Sustainable Yield: MSY)」という科学概念に即した資源管理が本格的に導入され、スケトウダラについてもMSYに基づく資源管理が本格的に導入された。

 資源管理の効果は徐々に現れている兆しが見える。水研機構によると、日本海北部系群のスケトウダラは、ABCに即した漁獲枠が設定されるようになった15年を境に(親)魚の資源量が徐々に増加(下図参照)、漁獲圧も17年漁期以降は適正水準となり、資源の中で漁獲される割合も、一時は20%以上だったものが20年漁期以降には2~3%まで下がっている。

 改正漁業法では、国に対して資源管理に関する基本方針(「資源管理基本方針」と言う)を定めている(第11条)。また、この基本方針中で各資源に関してMSY水準に設定される「目標管理基準値(以下「目標ライン」と略)」と、ここを割ったら「資源再建計画」を立てて資源回復策を実施しなければならない「限界管理基準値」(以下「限界ライン」と略)を設け、漁獲枠は資源が「目標ライン」を上回る状態に維持・回復させるように定めるよう規定している(第12条及び15条)。

 スケトウダラ日本海北部系群は、上向きつつあるとは言え資源量はMSY水準である「目標ライン」どころか「限界ライン」も下回っている。このため「資源再建計画」が策定されており、31年までに50%以上の確率で「限界ライン」に到達するよう漁獲枠を設定すること、親魚の量が41年に50%以上の確率で「目標ライン」を上回るような漁獲枠の立て方を検討することとなっている(資源管理基本方針別紙2-9 すけとうだら日本海北部系群)。

 しかし水研機構の資源評価によると、現在採用されている漁獲圧(今年漁期の漁獲枠は1万9700トンで以降漸増)では、「目標ライン」達成目標年度の41年から4年後の45年になっても達成確率は32%でしかないと予想されている。他方、もし漁獲枠を今漁期に6800トンで以降漸増させるようなかたちで漁獲圧を下げたならば、45年に82%の確率で目標ラインの資源量に到達するだろう、とも言っている。ちなみにこの場合の今漁期の漁獲枠は、統計がある直近10年(14~23年漁期)の漁獲量平均(5870トン)よりも低い。

 資源再建計画は「少なくとも2年ごとに資源評価に基づき…計画の見直しその他必要な措置を講じる」と定めている。この資源の資源再建計画は22年度から開始されていることから、来26年は「見直しその他必要な措置を講じる」年に当たる。資源回復のため、見直しのある来年には、漁獲枠は今年の1万9700トンから、例えば先述のようなかたちにまで漁獲圧を落とす必要があるだろう。


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