他方、トランプ政権内では中東における武力行使について激しい議論が起きている。安全保障問題についてトランプ大統領の下にはイデオロギー的に異なる複数のチームがいる。つまり、ウォルツ補佐官とルビオ国務長官のような外交タカ派、軍事力の行使に慎重なバンス副大統領とギャバード国家情報長官、さらにコルビー政策担当国防次官のような「米国の軍事力は中国に対抗するために東アジアに振り向けるべし」という人々がいる。
いずれにせよトランプ大統領がイスラエルのイラン攻撃に同意するかどうかは分からない。バイデン政権の末期、米政府関係者は、イランが核武装に舵を切ったと信じておらず、米国がイランの核施設攻撃に参加するとはイスラエル側に伝えなかった。
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懸念すべき同じ内容のリーク記事
ウォールストリート・ジャーナル紙とワシントン・ポスト紙という米国の2つの有力紙が同日(2月12日)に同じ内容のリーク記事を報じたことには、気を付けたほうが良い。さらに2月14日にはCNNも同様な報道を行っており、追加的情報として、情報関係筋の発言として「イスラエルの最終的な目標は依然としてイランの体制を転覆することだ」と報じている。
例えば、昨年10月に始まったイスラエル軍のレバノン侵攻も、23年10月のハマスの攻撃直後、ニューヨーク・タイムズ紙が、「イスラエルは、まずレバノンのヒズボラを叩いて後顧の憂いを無くしてからハマスを攻撃しようとして米国が止めた」というリークを報道し、その後、昨年3月、6月の2回、複数の米国主要紙が、「イスラエルは、ガザの衝突が一段落したら今度はレバノンに侵攻する」と報じていた。
ワシントン・ポスト紙、ウォールストリート・ジャーナル紙、CNN等の報道を総合すると、米国の軍事系情報機関は、次のように分析している。