2025年3月25日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年3月21日

(1)半年以内にイスラエルがイランの2カ所の核施設を攻撃するだろう。(2)攻撃は、空中発射型弾道ミサイルによる遠距離攻撃かバンカーバスターによる近距離攻撃になる。(3)しかし、イスラエルが攻撃してもイランの核開発を数週間から数カ月しか遅らせることが出来ない。(4)いずれにせよ、イスラエルのイラン攻撃には米国の支援が必要。(5)イスラエルの最終的目標は、イランのイスラム革命体制の転覆である。

イスラエルの本当の狙い

 しかし、イスラエルの最終目標がイスラム革命体制の崩壊だとして、核施設を破壊しても米側の見積もりでは数カ月、核開発を遅らせるに過ぎないのであれば、目的を達成するための手段が不十分だということになる。もちろん、イスラエルがイランの核開発の息の根を完全に止められると考え、その結果、威信を失った革命体制が崩壊すると考えている可能性はある。

 一つの穿った見方としては、イスラエルの本当の狙いは恐らく単独でも攻撃可能な石油積み出し施設を破壊してイラン経済を崩壊させて国民の蜂起を促すことであり、米軍の軍事関与を嫌うトランプ大統領が核施設攻撃への支援を断ると読んだ上で、代替策と称して石油積み出し施設を攻撃することを企んでいる可能性もある。

 イスラエルの意図の他の可能性としては、核施設を攻撃されたイランは3回目の報復を行わなければならないが、それはこれまで以上に本気のものとなるはずで、その結果、米国が軍事介入せざるを得なくなる状況に持ち込もうとしているのかも知れない。

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