2024年4月27日(土)

Wedge REPORT

2014年3月22日

――地方自治法の改正は、竹山市長から見て?

 「二重行政解消のためにいいことだと思う。今まで、どうも、お互い主張だけはするけれども結論に至らなかった部分について、国の有識者に判断してもらうことは、公平性が担保されると思いますね」

――竹山市長から見て、都構想の理念を実現する方法は、何も市を分割するだけでなく、地方自治法の改正も活用すべきだ、と?

 「はい。そう考えています」

――では、堺市は、大阪市は隣接市だが、分割については反対する、と?

 「その点は、ちょっとコメントを控えたい。隣の分割の是非について言うことは、大阪市民がしっかりと議論して結論を出すべき。今の段階で、市長という立場で言うことは問題あると思っている」

――よく「府市合わせ」(不幸せ)と言われる。竹山市長が府のOBの時、何かを感じたか。

 「ありました。一番感じたのは、商工労働部長をしている時、産業政策についても(府市)2本のレールで走っている。1本のレールで走ればいいのに、2本。例えば、産業振興機構というのがあって、大阪商工会議所と一緒の館でやっている中で、そのちょっと西側に創造・・・大阪市の外郭団体があるとか、府市で一緒になって産業振興していくようなシステムづくりをすべきだったのに、やっていなかった。

 そして、大阪府中小企業信用保証協会や大阪市信用保証協会といった同じような機能を持つものが2つある。そういったところは、今まで大阪府から問題提起しているのにできなかった。大阪市は聞いてくれなかった。いろいろ難癖つけて。それが今回、4月に1本化するらしい。これはひとつの成果だ」

――府市統合本部が信用保証協会や病院など、統合すべきところは統合した。

 「ただ、残念なのは水道が統合できなかった。これは、私は非常に残念。たとえば、守口市の庭窪というところに、府も市も浄水場を持っている。これを統合できずにどうするのか。大阪市・扇町の水道庁舎を見ても、立派な建物が遊休資産として残っているのに、そういったものを活用できずにどうするのかという思いがありました。お互いにダウンサイジングしていく中で、ひとつにしていくべきや、と。そういうのを当時の橋下知事が言って、最後は議会をよう説得できなかったのは非常に残念です。水道企業団の企業長として残念だ」

――水道局。大阪都になれば、広域が引き取る。そしたら自動的に大阪水道企業団と一緒になると橋下氏はテレビでコメントしていた。おかしい。あれは自治体ですから。42市町村の同意が必要になる。

 「大阪府は今、水道機能の管理・監督だけを持っているだけで、実務は何もしていない」

――実際に運営しているのは42市町村。それを囲み会見で橋下氏に言ったら、それはテレビでカットされていると言っていた。テレビ局に聞いたら、ノーカット、と……。竹山市長は、都構想の理念については賛成というが、頭から反対だと思っている人もいる。

 「堺市としては、頭から反対ですが・・・笑」

(聞き手=ジャーナリスト・吉富有治 取材日:2014年2月28日)

竹山 修身(たけやま おさみ)
1950年5月30日 - 大阪府堺市にて出生
1969年3月 - 大阪府立三国丘高等学校卒業
1974年3月 - 静岡大学人文学部卒業
1975年4月1日 - 大阪府庁入庁
1989年4月 - 南河内郡美原町へ出向、同町助役
1995年5月 - 大阪府総務部人事課長
2005年4月 - 大阪府議会事務局長
2008年4月 - 大阪府商工労働部長
2009年4月 - 同政策企画部長
2009年7月3日 - 大阪府庁退職
2009年10月8日 - 大阪府堺市長
2013年9月29日 - 堺市長再選
――Wikipediaより

◆WEDGE2014年4月号では「『大阪都構想』と橋下改革を検証する」と題した第2特集を展開しています。
◎「大阪市の解体」が都構想の本質 WEDGE編集部
◎橋下徹の功罪とポスト都構想の必要性 吉富有治 (ジャーナリスト)
◎大阪はこれからも大都市を目指すのか 砂原庸介(大阪大学准教授)









 

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