また、国防総省には軍事作戦の合法性を判断する法務総監がいるが、陸、海、空の法務総監はいずれも本スキャンダルの3週間前に解任されていた。諜報管理や人命保護のための法や体制が壊されていることの影響が明らかになった。
中枢メンバーの立場や力関係
トランプ一期目と違いトランプ2.0では大統領の周囲にはトランプに盲目的に従う人々しかいないが、会話は中枢メンバーが単に大統領に従うのではなく、いかにトランプ的になるかを競っている様子がみえた。スキャンダルが明らかになると、ギャバード国家情報長やヘグセス国防長官も、機密情報は会話で共有されなかった、「戦争計画」ではなかった等言い訳を連ね、問題を指摘する人々を攻撃した。
トランプの欧州叩きやゼロサムの商業主義でも競っていた。ウォルツ国家安全保障担当補佐官はフーシ派の紅海でのタンカー攻撃で一番被害を受けているのは欧州なので、「今回の攻撃にかかった費用を欧州に払わせる方法を検討している」、バンス副大統領は「欧州を救済したくない」、ヘグセス国防長官は「まったくだ。欧州のただ乗りは憎々しい」と述べている。
中枢メンバーの立場や力関係も明らかになった。欧州のために米国が攻撃するのはおかしい、問題はタイミングだ等の議論が続く中、作戦実施を言い渡したのはスティーブン・ミラー国家安全保障担当次席補佐官だった。
「自分が聞いた大統領の指示は明確だ。作戦実行。エジプトと欧州に代わりに何を求めるかを明らかにする。いかに代償を強制するか、もし応えなかったらどうするかをはっきりさせる必要がある。米国が大きな犠牲を払って航海の自由を取り戻したらさらに大きな経済的報酬が必要だ」
ミラーの言葉が大統領の言葉のように受け止められた。作戦実施後も「みんなよくやった。強烈な第一歩だ」とお褒めの言葉を述べたのもミラーだった。
