「欧州では紙が高いんです。でも、包み紙などの種類は豊富です。気に入ったものを購入して裁断、封筒は手で折って、便箋の罫線はシルクスクリーンで一枚一枚プリントしています」
13冊目となったみんなの交換日記
そんな話を聞くと、手紙を書きたいという気持ちが高まってきます。1度目に訪れた時は母親に、2度目には妻に手紙を書きました。
心を落ち着けて手紙を、という時間はとても良いものだと改めて感じることができました。典章さんはこう話します。
「手紙は自分の心を整理した上で相手へ気持ちを伝え、返信があるまで待つ時間があります。SNS全盛の今は、すぐに返信する必要があり、その都度、相手や周囲に合わせる必要があります。こんな時代だからこそ、手紙の価値があるのではないかと思います」
私も全く同感です。ポスト舎の机には、お客さんが始めたという交換日記があります。例えば「コンサートのために2年ぶりに大阪に来ました。(ポスト舎に来て)とても素敵な空間でほっこりです。『次の方へ』文具で好きなものは何ですか? 私はついついポストカードやカラーペンに目がいってしまいます」。そして次の人が「『前の人へ』私もポストカード好きです。風景が描かれたカードは特にいやされます」と、前から次の人へとつながっていくのです。
「みんなの交換日記は、もう13冊目になります。返事が気になって読みに来る人もいます」
と、朝子さん。さて、ポスト舎から眺められる靱公園には、この地で生まれた作家・梶井基次郎の『檸檬』の文学碑があります。今回は、この檸檬にちなんで、レモン柄の便箋を選んでみました。
出張や旅行で大阪を訪れた際、ぜひポスト舎に立ち寄って、手紙を書いて頂きたいです。その場で、多様な切手を購入することもできます。
その他、ベルリンで朝子さんが買い付けた仕掛けポストカード、かつて日本の風鈴職人がつくったというガラスペンなどレアなアイテムもたくさんそろっています。
