軽工業だからこそできる事業継承の姿
竹内さんは、何となくではなく、言葉の意味や価値を自分なりに掘り下げ、定着させて引き継いできた。若い頃は、いつか東京に出てみたいという気持ちを持っていたが、最終的には心地の良い大阪を選んだ。
「今ではチャレンジする後継者の集まりである『アトツギ』というコミュニティーにも参加して、多くの方と知り合うことができました。大阪には、2代目、3代目の中小企業が多い。それは〝弱者の戦略〟だと言っても良いかもしれません。例えば、道具箱やスリッパなどの軽工業だからこそ、生活の中にうまく入り込み、事業を継続しているのです」
今後は防災にも取り組んでいきたいという竹内さん。自社のコンセプトが固まった今、その視座は一段と高くなっている。
「自分たちは、防災用品を作っている会社だとも意識しています。都市防災みたいなことにも、貢献できたらと思っています。一歩一歩ですが、今年は地元西区の防災イベントにも参加させていただく予定です」
平安伸銅の受付には「スケバン」に扮した竹内さんのポスターが貼ってある。
「てめぇらが使ってる突っ張り棒の大体は突っ張れてねーんだよ!」
突っ張り棒の正しい使い方を啓蒙する取り組みだ。その横には、DIYのハウツーを剛腕怪人ラブリーコングたちが紹介してくれる動画『暗黒帝国アジャスター』のポスター。今年1月からは突っ張り棒を擬人化した学園恋愛小説『つっぱりボーイフレンド─キミと支え合う世界で─』がスタートした。笑いをとることにも一切の妥協がないのだ。
