2025年12月5日(金)

大阪 自由都市を支える“民の力”

2025年4月30日

軽工業だからこそできる事業継承の姿

 竹内さんは、何となくではなく、言葉の意味や価値を自分なりに掘り下げ、定着させて引き継いできた。若い頃は、いつか東京に出てみたいという気持ちを持っていたが、最終的には心地の良い大阪を選んだ。

 「今ではチャレンジする後継者の集まりである『アトツギ』というコミュニティーにも参加して、多くの方と知り合うことができました。大阪には、2代目、3代目の中小企業が多い。それは〝弱者の戦略〟だと言っても良いかもしれません。例えば、道具箱やスリッパなどの軽工業だからこそ、生活の中にうまく入り込み、事業を継続しているのです」

「後を継ぐこと」を自分なりに「言語化」した竹内さん

 今後は防災にも取り組んでいきたいという竹内さん。自社のコンセプトが固まった今、その視座は一段と高くなっている。

 「自分たちは、防災用品を作っている会社だとも意識しています。都市防災みたいなことにも、貢献できたらと思っています。一歩一歩ですが、今年は地元西区の防災イベントにも参加させていただく予定です」

 平安伸銅の受付には「スケバン」に扮した竹内さんのポスターが貼ってある。

 「てめぇらが使ってる突っ張り棒の大体は突っ張れてねーんだよ!」

 突っ張り棒の正しい使い方を啓蒙する取り組みだ。その横には、DIYのハウツーを剛腕怪人ラブリーコングたちが紹介してくれる動画『暗黒帝国アジャスター』のポスター。今年1月からは突っ張り棒を擬人化した学園恋愛小説『つっぱりボーイフレンド─キミと支え合う世界で─』がスタートした。笑いをとることにも一切の妥協がないのだ。

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Wedge 2025年5月号より
やっぱ好きやねん! 大阪 自由都市を支える〝民の力〟
やっぱ好きやねん! 大阪 自由都市を支える〝民の力〟

いよいよ開幕する「大阪・関西万博2025」。大阪での万博の開催は、1970年以来、実に55年ぶりとなる。この間、東京一極集中が続き、日本の停滞とともに勢いが失われていった。そんな大阪を盛り上げようとする「熱気」や「動き」がいま、まちのあちこちで生まれている。支えているのは、大阪独自の〝民の力〟やそれらを受け入れる〝自由さ〟だ。大阪の隆盛に奮闘している人々の想いから、日本の第二都市であり、自由都市であるこれからの大阪のあり方を考えたい。


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