今秋に露朝首脳会談が行われる可能性
これまで金正恩氏が5月9日にモスクワで開催された戦勝記念軍事パレードに出席しない理由を述べてきたが、筆者は戦後80周年の今年、金正恩氏がプーチン氏と会談する可能性は非常に高いとみている。筆者の見立ては、次のようなものだ。
ロシアが主宰する「東方経済フォーラム」が9月3日から6日までウラジオストックで開催される。同フォーラムは、15年にプーチン氏がロシア極東経済開発とアジア太平洋パートナーシップ拡大を目的に創設したもので、プーチン氏は毎年出席(20年のコロナ延期を除く)している。そのため今年もプーチン氏は確実にウラジオストクを訪問する。
そして、9月3日(日本時間では2日)は、日本が東京湾の戦艦「ミズーリー」で降伏文書に調印した日で、VJ-Dayとも言われる。プーチン氏は23年、それまで「対日戦勝記念日」としていた同日を「軍国主義日本に対する勝利と第2次世界大戦終結の日」に変更した。
プーチン氏のウラジオストク滞在中、金正恩氏は専用列車で同地を訪れ、北朝鮮建国と旧ソ連の関係などお首にも出さず、軍国主義日本をともに打倒した同志として振る舞い、米国の覇権を非難して同盟の絆を深め、さらなる派兵や武器の供給について話をする――。
筆者の見立ては、いかがだろうか。9月上旬にロシア極東で露朝首脳会談を行うことは、双方の理に適う。
金正恩氏は5月9日を前にして、砲弾やミサイルの製造工場を訪問(7日報道)し、新型の600ミリ多連装砲と戦術弾道ミサイル「火星砲−11カ」の訓練射撃を視察(9日報道)した。これらを対独戦勝記念日に向けた祝砲と秋の会談での手土産を披露したとするのは、穿った見方だろうか。
