カーニーは、「我々はトランプ大統領の標的になっている友好国や隣国を支援している……結束すれば我々はこの貿易戦争に勝つだろう」と述べたが、実際はどちらも貿易戦争での「勝利」はないというのが厳しい現実で、報復合戦は両国を傷付けることになろう。
米国とカナダが分断ではなく、対立の緩和に努めるべきなのはこのためだ。両国は年間約1000億ドルのモノを売買しており、互いに最大の貿易相手国なのだ。
カーニーはトランプと取引する用意が出来ている。そしてトランプは本当に中国に対抗すべく自由世界を結集させたいのであれば、カナダとの友情を修復する必要がある。
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日本も協議、協調が必要
カナダの総選挙で、カナダ国民はトランプの高関税政策とカナダは米国の51番目の州になるべきとの発言に強く反発している自由党のカーニーが首相として続投することを選択した。当然の選択である。
トランプへの反発は、5月3日に実施された豪州の総選挙でも労働党が引き続き政権を担う結果を生み出した。英国でもトランプ流の政策を標榜していた改革党のファラージはトランプと距離を置く発言をしている。
トランプは、基本的にその場限りの取引を重視し、法や原理原則にとらわれない恐喝屋のような人であると思われる。こういう人には、恐喝は有効でないことを示していくことが必要であろう。
カーニーは「我々には米国以外に多くの選択肢があることを念頭にトランプの標的になっている友好国などを支援する。結束すれば我々はこの貿易戦争に勝つだろう」と述べたとされているが、日本もカナダ、韓国、欧州連合(EU)諸国などの対応について情報収集や協議をして、協調して対応することが重要であろう。
