2025年6月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年5月20日

 ワシントン・ポスト紙の4月29日付け社説‘Trump helped elect a liberal leader in Canada’が、高関税を課し、カナダを米国の51番目の州にしたいと放言するトランプ氏への反発から、カナダ国民はトランプ氏との対決を辞さない構えのカーニーを改めて首相に選出、今後両国は新たな関係を築いて行かなければならない、と論じている。要旨は次の通り。

(koyu/undefined undefined/Radiomoscow/gettyimages・ロイター/アフロ)

 新たにカナダ首相に選出されたマーク・カーニーは怒りよりも悲しい思いでカナダと米国の離反を嘆いた。自らが率いる自由党が連邦選挙に勝った後、彼は、「昔からの我々の関係は終わった……米国に支えられたグローバルな自由貿易体制は終わった。しかし、これが我々の新たな現実だ。我々は米国の裏切りの衝撃は乗り越えたが、その教訓を忘れてはならない。我々は独立独歩で行かなければならない」と述べた。

 カーニーが首相になれたのはトランプ大統領のおかげと言える。トランプがカナダに高関税を課さなければ、そしてカナダは米国の51番目の州になるべきだと繰り返し言わなければ、今の立場に立つことはなかったとカーニーも認めている。

 自由党の支持率は1月に大きく下落したが、トランプによって米・カナダ危機が起きると、最有力候補だった保守党のポワリエーブル党首はトランプの選挙キャンペーンに酷似した「カナダ・ファースト」政策の再調整に苦戦、挙句に自身の議席さえも失ってしまった。

 カナダ人が投票に行った4月28日、トランプはまたもやカナダを米国の51番目の州にしたいとソーシャル・メディアで表明した。4月29日に発表されたPost-ABC-Ipsosの世論調査によれば、カナダ獲得を支持する米国民は13%のみで86%は反対している。


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