オンラインカジノ利用者の摘発が増加している。今年3月に発表された毎日新聞の取材によると、2024年に全国で検挙された人は279人(推定値)で、一昨年の2.5倍に急増しており、統計を取り始めてから最多となったそうである。
オンラインカジノの利用者が増加傾向を見せ始めたのは2020年頃からといわれる。スマートフォンの普及と通信速度の高速化や決済手段の多様化を背景に、新型コロナが自宅娯楽需要を急速に押し上げた結果である。また、日本からの利用者も急増していることを受けて日本語対応しているオンラインカジノも増加傾向にある。
警察は、芸能人らを検挙することによって社会に警鐘を鳴らすが、オンラインカジノの利用者は年々確実に増加している。
いうまでもなく日本でのオンラインカジノの利用は、刑法第185条「賭博罪」および第186条「常習賭博罪」に該当する犯罪行為である。警察はどのようにして容疑者を割り出し、芸能人などを検挙しているのだろうか。
芋づる式に検挙されるオンラインカジノ利用者
はじめに思い浮かぶのが、SNSなどで勝ちを自慢しているようなケースだが、「オンラインカジノを利用した賭博は犯罪です!」との注意喚起が浸透している現在では数少ないケースだろう。また、周囲の者によるいわゆるタレコミも少数だろう。
同様に稀なケースとして、別件捜査の過程で発覚するケースが考えられる。例えば詐欺や薬物事件の捜査中にスマホやPCの履歴情報からオンラインカジノの利用が発覚し、追加で立件されるケースだ。
最も多いケースと考えられるのは、海外オンラインカジノへの送金を代行する決済代行業者を検挙し、そこから利用者を割り出していく方法と、オンラインカジノの運営者から成功報酬を受け取るアフィリエイト(成功報酬型広告仲介者)を逮捕して、そこから利用者を割り出していく方法だろう。
決済代行は、オンラインカジノ利用者へ「通販代金」といった名目で送金する会社で、多くの場合オンラインカジノ事業者と結託している。捜査当局は、銀行口座・取引履歴を「捜査関係事項照会」として銀行に照会し、オンラインカジノ事業者との取引実態を調査し、事業者間のメールや契約書などによって賭博事業への積極的な関与を裏付けて、「賭博開帳図利幇助罪」として立件するのである。