米コロラド州の暗号資産管理会社ジャンプクラウドのデジタル通貨が、北朝鮮政府が支援するハッカー集団「ラビリンス・チョルリマ(千里馬)」によって盗まれようとしていたとするニュースを7月20日付でロイター通信が伝えている。「ラビリンス・チョルリマ」は、北朝鮮偵察総局の隷下にある「ラザルス(Lazarus)」所属のハッカー集団である。ジャンプクラウド社の被害総額は未だ不明だが、今年も北朝鮮による暗号資産(仮想通貨)窃取が盛んに行われているようだ。
ブロックチェーンに関する調査を専門に手がけるチェイナリシス(Chainalysis)社の分析によると、北朝鮮が2022年に盗み出した暗号資産総額は、過去最高の16億5050万ドルに達したようだ。
また、今年4月に国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会専門家パネルが公表した調査報告書では、22年に北朝鮮が盗み出した暗号資産は、6億3000万ドルに達すると分析しており、「22年が北朝鮮による暗号資産盗難の記録的な年であったことを示している」と報告されている。
暗号資産の被害総額の推計は、ビットコインやイーサリアムといった暗号資産の種類をいつの時点でドル換算するか、窃取された暗号資産がどこからきたのか分からなくするミキシングサービスの追跡がどこまで可能かなど、技術的課題も多く、不明な点もあるが、チェイナリシス社は、暗号資産窃取の犯罪手口の分析やミキシングサービスの追跡を行っていることから最も信頼できる数字ではないだろうか。