強める「越境弾圧」
最近「越境弾圧」という言葉が頻繁に聞かれるようになった。中国本土から外国に移り、民主化運動を続けている反体制派の人々に対する「監視」と「弾圧」が強化されている。
今年3月NHKは、「米国では1989年の天安門事件後、米国に移り、中国の民主化運動を続けているグループの中核であった弁護士が、中国当局から指示を受けた若い中国人女性により3年前に殺害された。また、民主化運動にかかわる内部情報を中国に提供していたメンバー2人がスパイ容疑で米政府に逮捕された」と報道した。
また、今年4月ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)は、「中国や香港から海外に移り住み、中国政府に対して批判的な活動をしている人たちが、自らや家族に対する監視や脅迫の被害を受けたとする証言とそれを裏付ける証拠を検証した。その結果、被害を受けている人は、米英独など23の国と地域で計105人が判明した。標的は中国や香港から海外に逃れた民主活動家、人権活動家、ウイグルの人たちが対象となっていた」と公表した。
105人の中には、東京で暮らす香港出身の活動家1人が含まれており、彼の香港に住む両親は嫌がらせや脅迫を経験している。このICIJの発表に対し、日本の中国専門家は、時宜を得た発表だが、発表された人数は氷山の一角だろうとコメントした。実際、日本に住む日本ウイグル協会会長は、中国による妨害行為を受けていると公表している。
ファング会長の寄稿の中に、「これまで海外の独裁者たちに真実を語るためにすべてを賭してきた勇敢なジャーナリストたちは、『報道の自由』を信条とする米国によって沈黙させられるかもしれない」との記載があるが、米政府はRFAの重要性を再認識し、その活動が維持され、民主主義、人権、自由を否定する中国共産党にとって「脅威」とならなければならない。