ルーマニアの政府は、5月5日に前首相が辞任したので、現在は暫定政府である。ダンはかなり迅速に新たな政府を組織できる首相を任命できるであろうとビクトール・ネグレスコは言う。彼は欧州議会のPSD(社会民主党)のメンバーでダンの選挙戦を支援した。
新政府は暗澹たる財政状況に当面する。ルーマニアの2024年の財政赤字はEUで最も高い国内総生産(GDP)比9%超だった。
21年以来中道政党が政権にあったが、パンデミックの期間にその支持率が急落したため、年金と政府給与を増額して支持を回復しようとした。そのことがインフレを進行させ、24年の初め以降EUの中で最も高いインフレ率となった。EUの平均値は2.5%であるのに対し3月の数値は年率5.1%だった。
投資家はルーマニアの債務を嫌っている。ルーマニアの10年国債の利回りは選挙前の17日には8.4%でドイツよりも5.8ポイント高い。ルーマニアの格付けはBBB-でジャンクボンドに近い。
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逆転勝利の理由
やり直しの大統領選挙の一回目の投票で勝ったのは、MAGAのイデオロギーを完全に支持すると公言するシミオンだった。当選すればジョルジェスク(昨年11月の無効とされた大統領選挙の一回目の投票で予想外の勝利を収めた風変わりな候補)を首相に任命するとも述べていた。彼は世論調査の支持率を大きく上回る41%の票を獲得し、2位につけたダンの21%に決定的な差をつけたかに思われた。
しかし、5月18日の決選投票で勝ったのは親EU・西側のダンだった。逆転勝利である。得票率はダン:53.6%、シミオン:46.4%だった。
