歴代興行収入でも8位に入るほどの世界的な大ヒットにもなっているが、その要因も各国の歌手(あるいは女優)が母国語でこの曲を歌っているから。YouTubeには公式に各言語の「Let It Go」がアップロードされ、さらに25カ国語を繋いだマルチ言語版(http://youtu.be/OC83NA5tAGE)もある。いろんな国の「Let It Go」を聴き比べるととっても面白い。ちなみに、松たか子が歌う日本語詞版では「れりご~」の部分が違う歌詞になってるんだけど、日本版・英語版それぞれを観に行くファンも散見される。
それにしても大ヒットである。日本では3月14日に公開されてから5週連続動員トップ。興行収入も90億円を突破し(4月14日現在)、100億円台も見えてきた。ちなみに外国のアニメーション映画では、2003年末公開の『ファインディング・ニモ』が111億円、2010年夏公開の『トイ・ストーリー3』が108億円。それに迫る勢いだ。
しかし、この2作と『アナと雪の女王』は、まったく異なるタイプの作品だ。このふたつは、現在はディズニー傘下のピクサー社の作品。ピクサーは、フルCGのアニメーションの先駆として映画界を走ってきた。一方、『アナと雪の女王』はディズニーが長らく続けてきたプリンセス・ストーリーである。90年代中期以降、こうしたプリンセス・ストーリーは、思ったほどのヒットに恵まれていないのが実状だ。
その逆風とも言えるなかで、『アナと雪の女王』は大ヒットとなった。これまでと、なにが違ったのか?
読解のための「3つの補助線」
最初にざっくり書くと、『アナと雪の女王』は魔女化したお姉さんを妹が助けに行くというお話。
触れたものを凍らせる魔力を持つアレンデール王国の王女・エルサは、幼いとき誤ってその力で妹のアナを傷つけてしまう。結果、エルサは城門を閉ざしてひきこもりとなり、その後、両親も海難事故で死亡。そして成人した日の戴冠式、エルサはその魔力を暴走させてしまい、アレンデールを氷で覆いつくしてしまう。怪物と見なされたエルサは、ひとり山に向かい自分で氷の城を建ててそこにひきこもる……。