2025年12月18日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年6月26日

 今日、米国と欧州は、人道支援を強化し、迫害を公表し、民主派勢力を支持することによりミャンマーを助けることが出来よう。しかし、トランプ政権はミャンマーへの援助を削減し、欧州は東部国境における自身の安全に忙殺されている。

 ミャンマーの長期的な希望は、民主派が究極的にまとまって内戦に勝つか、それともインドやタイのようなミャンマーの隣国が公正な平和のために努力するかである。しかし、近隣諸国は今のところ軍事政権を支持する傾向にある。

 しかし、時間を経れば、近隣諸国も民主的なミャンマーだけが安定をもたらすことを認識するに至るかも知れない。それまでは、戦争は継続し、国民の一部が戦っている。中国の増大する力、西側の関心の低下、そして他諸国の冷淡さがミャンマーを悲惨な命運に追いやっている。

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軍事政権と少数民族に手を貸す

 ミャンマーの内戦に伴う混乱した惨状に米国と欧州が関心を失う状況にあって、唯一支配的な外部勢力となったのは中国である。中国が演ずるのはシニシズムと無頓着であり、ひたすら自身の利益を保全するための価値とは無縁の外交である。

 全てのプレーヤーを相手に(軍事政権、少数民族武装組織、民主派抵抗勢力を問わず)、脅迫と懐柔によって糸を引く。そういう中国の監視下で地獄絵が展開されている。この社説はそのように観察しているが、正確な観察と思われる。

 23年10月に、中国と国境を接する北東部のシャン州で少数民族の連合軍であるThree Brotherhood Allianceが軍を攻撃して一帯を制圧し軍事政権が甚大な被害を蒙ったことがある。背後で糸を引いていたのは中国だったことが程なく判明した。シャン州の国境地帯に出現した大規模なオンライン詐欺グループが看過し得ない問題となったため、少数民族の武装組織を使って詐欺グループの拠点の破壊を実行せしめたのが真相だった。


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