得るものよりも失ったものの方が大きい
USAIDと並んで、米国の対外的ソフトパワーの発揮に少なからず貢献したてきたのが、総務庁が統括するUSAGMの存在だ。
世界各国向けにラジオ、TV、ネットを通じ、米国政府関連のニュースを配信してきた。 その中の代表的メディアが「Voice of America」(VOA)だ。
VOAは歴史が古く、第二次世界大戦最中の1942年にラジオ放送として開局された。 当時、欧州で吹き荒れたナチス・ドイツのプロパガンダとアジアでは日本軍国主義の脅威に対抗するのが目的だった。今日まで、海外駐在スタッフも含め1300人の陣容を擁し、45の言語で年間を通じ、ニュースや娯楽番組などが発信されてきた。
しかし、去る3月、トランプ大統領が「VOAはアンチ・トランプでラジカルだ」との理由で活動停止の行政命令を発令。その結果、すでにスタッフの99%が解雇処分となった。
ラジオ放送では、VOAのほか、同じUSAGM傘下で特定地域に限定した「Radio Free Europe」「Radio Free Asia」もあり、欧州、アジアの共産主義対抗手段として活動してきたことで知られる。この二つも、大統領命令のリストラ対象となっており、今や風前の灯だ。
トランプ大統領は就任以来、これまで、米国の利益を最優先する「アメリカ・ファースト」をスローガンに掲げ、その象徴として、「DOGE」パワーをなりふり構わず振りかざしてきた。
しかし、上記にみてきた通り、「DOGE」が実際に残したものは、得るものより失ったものの方がはるかに大きい悪政と言わざるを得ない。
