リスク発信の重要性
トランプの政策を正面から批判すれば彼はむきになって反論しあるいは報復的措置を取ると脅かすのが常であり、その関税政策をめぐり正面から政府レベルで論争することは得策ではなかろう。他方、トランプのパフォーマンスからは、SNSでの発信を乱発しオーディエンスの反応を非常に気にする面もある様にも見える。
ただし、トランプが気にするのは、SNSを見るMAGA支持者とビジネス界の意向を示す市場の反応のようであるが、MAGA支持者を含む大衆や市場は有力メディアを意識するので、この論説の様に、トランプ関税と対イラン戦争への参加が世界同時不況のリスクを高めているといった主張が広く共有されることは多少の抑制効果を持つ可能性もあろう。
特に、7月上旬の関税交渉の期限後に「相互関税」を復活することは正に世界同時不況への引き金を引くリスクがあるといった主張を主要メディアや有識者がSNSを通じて強めることを期待したい。
現在の状況は、原因を米国が作っているにもかかわらず、リーマンショックからの回復時の様に米国財政や国際協調は期待できず、また中国経済にも頼ることはできず、一旦世界同時不況となれば長期化が懸念される。そのような状況になった際の責任の所在を明確にしておく意味でも、上記論説のような主張は重要だろう。

