6月25日付けウォールストリート・ジャーナル紙は「トランプは北大西洋条約機構(NATO)の闘いに勝利」との社説を掲げ、先日のNATO首脳会合で各国国防費を国内総生産(GDP)の5%にするとの新たなコミットメントが成立したことを評価する一方、ウクライナ支援に対する米国のコミットメントは確認できなかったとしている。要旨は以下の通り。
米国は長きにわたり欧州の同盟国に対して自衛のために一層の支出をするように要請してきた。NATO首脳会議で、従来の2%を増額し、GDP5%の防衛支出をするとの合意がほとんど全会一致であったのは驚くべきことだ。
トランプ大統領はNATOの計画を欧州と西側文明にとって大きな決断だとしたが、これは、珍しく誇大広告ではないかもしれない。同盟国は2035年までにGDPの3.5%を直接的軍事支出に充て、残りの1.5%についてはサイバー防衛強化のような周辺的だが有益な支出を算入することができる。
ルッテNATO事務総長はトランプを称賛したことで批判されたが、彼がトランプを評価したのは正しい。トランプが大統領に再選されなかったらこのような首脳会合の結果が出たと思うか? とルッテは記者に質問した。
それは正しい指摘だ。しかし、より重要なのは、NATOが自衛のための意思と手段を持っているかどうかだ。
もちろん5%というのは、NATOの中でも遅れているスペインのような国にとっては大きな増額であることは疑いが無い。スペインの24年の国防支出はGDPの1.28%であり、既に合意実施を回避しようとしている。他の不名誉な国は、スロベニア(1.29%)、ベルギー(1.3%)、カナダ(1.37%)等だが、カナダは改善を約しつつある。
5%はでっち上げの数字ではない。ルッテ事務総長は、この数字は欧州防衛のために必要な武器の量に基づいていると主張している。
詳細は機密だが、ルッテ曰く、「購買リストは防空能力の5倍の増加を含む。なぜなら、我々は毎日のようにウクライナに対するロシアの空からの殺戮を目撃しており、そのような攻撃から自己を防衛できなければならないからだ。さらに、数千の戦車と装甲車もだ。戦争の形態は急速に変わりつつあるが、我々は引き続き戦場で兵士を守り、移動する必要があるからだ。そして、数百万発の砲弾だ。なぜなら、このような備蓄を持つことで初めて如何なる脅威からの攻撃をも抑止することが出来るからだ」。
