2025年12月5日(金)

Wedge REPORT

2025年7月15日

 日本政府の主催事業にもかかわらず、「大阪のローカルイベント」と揶揄する声が収まらない大阪・関西万博は、7月13日で開幕から3カ月となり、半年の会期の折り返しを迎えた。会場では、万博のコンセプト「未来社会の実験場」はあまり感じられないのが正直なところだが、大阪人のお祭り好きの性もあってか、来場者数は連日10万人を超えている。

大阪・関西万博の来場者数は順調だが、運営側の対応に課題が出ている(筆者撮影、以下同)

 しかし、あまりの混雑に来場者から不満の声が目立ち、会場での害虫の大量発生やレジオネラ属菌検出などの問題も噴出。万博の運営主体・日本国際博覧会協会(万博協会)の場当たり的な対応に厳しい目が向けられている。

「ご都合主義」の来場者発表

 大阪市の人工島・夢洲の万博会場では6月29日、来場者1000万人の達成を記念する式典が開かれた。万博協会は運営スタッフや報道関係者らを含めた累計で達したとしており、このうち一般来場者は800万人台となっている。

 このカウント方法をめぐっては、開幕当初からメディア側から「一般来場者のみの実数を発表したほうがいいのではないか」との指摘が相次ぎ、交流サイト(SNS)上でも「水増しだ」などと批判の声が起きたが、万博協会は黙殺。毎朝発表している前日の来場者数の脇には、「そのうちAD証入場者は○○人」とのただし書きが記されている。AD証とは、運営スタッフや取材目的で来場する報道関係者らに配布している入場証のことだ。

 スタッフ込みの人数を発表し続けることについて、万博協会は「前回のドバイ万博の計算方法と同じだ」と主張する。ただ、ドバイは新型コロナウイルス禍という特殊な状況で開催されただけに、すんなりと納得はいかない。2005年に愛知県で開催された愛・地球博は、スタッフなどを含めない実数を公表していた。

 大阪府の吉村洋文知事が記者会見で語ったところでは、万博協会は「万博はみんなで作るものだからAD証の入場者も含めて発表」との見解を示しているという。来場者への満足度調査の結果についても、万博への好意的な意見ばかり公表するなど万博協会の姿勢は「ご都合主義」が目立つが、大阪で1970年以来半世紀ぶりとなる万博は、連日それなりの人出でにぎわっている。

 とにもかくにも開幕から2カ月半での来場者1000万人達成に、万博協会の石毛博行事務総長は想定より早く到達したとご満悦で、「これから夏本番だが、多くの人に足を運んでほしい」と呼び掛けた。


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