お肉は「店で買うもの」から「家庭で作るもの」へ――。こんなコンセプトのもと、大阪・関西万博で培養肉が展示されている。
万博では〝未来の食卓〟の設定だが、海外で培養肉はすでに販売されている国もある。技術開発では日本も世界に引けを取らないが、日本での実用化のハードルは高い。いったいいつになったら培養肉が日本の食卓にのぼるのだろう。
好みの肉を家庭で
培養肉は、これまで人間がタンパク源としてきた生物の細胞を培養して生産した肉のこと。肉といっても、牛や豚、鶏など家畜となっている動物だけでなく、ウナギやエビなど水産物もある。
万博会場では大阪ヘルスケアパビリオンの「ミライの都市」エリアで展示。ここでは、3Dバイオプリント技術で作った培養肉の実物と、家庭で霜降り肉を培養し調理する〝未来の食卓〟を描いたCGなどを見ることができる。
CGでは、家庭にある「ミートメーカー」で肉を作る様子を再現。ミートメーカーは電子レンジぐらいの大きさの家電で、晩ご飯に肉を食べようと思ったらミートメーカーに、牛・豚・鶏のどの肉にするか▷赤身か霜降りか▷霜降りの脂肪の割合▷加えたい栄養素(鉄分・ビタミン・ミネラル・食物繊維)の割合▷サイズ――などを入力すれば、その日の体調や家族の好みに応じたオーダーメイドの肉が出来上がる。
例えば、貧血気味の娘のユイちゃんには鉄分を追加した赤身肉、スポーツ好きの息子のケンタ君には脂質少なめでビタミンとミネラルを追加した霜降り肉、といった具合だ。