2025年12月6日(土)

食の「危険」情報の真実

2025年7月22日

家畜用医薬品使用にはルールがある

 動物医薬品は、品質、有効性、安全性が確認されたものしか流通していない。野菜に散布される農薬には、「出荷〇日前までは散布してよい」という使用ルールが作物および農薬ごとに定められている。家畜に使われる医薬品は畜産品の残留農薬という扱いになり、図3のように投与してから出荷までの日数が定められている。

 食品の残留農薬の試験方法は、食品、残留物質ごとに法令で詳細に定められ、動物用医薬品の「食品としての安全性」も担保されている。このようなルールが守られていることが消費者にもっと周知されると、消費者の不安も減るのにと思わずにいられない。

耐性菌

 動物用医薬品の使用をめぐっては、食の意識調査でも出てきたように、耐性菌の発生を心配する声も聞こえてくる。耐性菌とは、抗菌剤に対する抵抗性を持った微生物のことで、抗菌剤の使い過ぎなど不適切な使用によって増加する。その結果、家畜の治療が難しくなったり、畜産物等を介して人の健康に影響を及ぼしたりするものだ。防止するためには、家畜と人の抗菌剤の薬剤耐性率(薬剤耐性菌の出現割合)を低く抑えなくてはならない。

 家畜への抗菌剤の使用に関しては、1950年代から、獣医師による指示の義務付けや、対象動物および使用量、使用時期等の基準の設定、薬剤耐性菌の全国的な実態調査、食品安全委員会によるリスク評価、ガイドライン策定などの対策が進められてきた。日本はコーデックス委員会、国際獣疫事務局(WOAH)、主要7カ国(G7)等の取組にも積極的に参画している。

 現在は「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-27年)」が進められており、医療関係者への生涯教育研究や研修プログラムの継続・充実、薬剤耐性動向調査や動物用抗菌剤の農場ごとの使用量を把握するための体制確立、薬剤耐性菌の環境中での実態調査なども含まれている。使用の制限だけでなく、使う人の意識も高められており、耐性菌を発生させないように対応していることがわかる。


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