食品の価格高騰によりお財布には厳しい日々が続いている。冬場の野菜の値上がりはかなり厳しい状態だったが、今はだいぶ落ちついた。お米に至っては言わないことにする。
それに比べて卵の値段は高止まりしてしまった感がある。2023年に続き25年1月も鳥インフルエンザが広がり、5つの県で34カ所、処分の対象となったニワトリなどの数は652万羽にのぼった。
気候変動による野菜の不作と同様、家畜の感染症にも私たちは手も足も出ないのだろうか。動物医薬品、ワクチンは助けにならないのか。
経営的、社会的コストの高い動物の感染症
主な家畜の病気を見ると、手ごわそうな感染症が並んでいる(表1)。
人や物が国境を越えて移動し、野鳥も飛ぶ実社会では、完全な感染拡大予防は難しい。また、現代の畜産経営の大規模化により、感染拡大の規模もスピードも桁違いになってきている。
一羽、一匹でも感染症に罹ってしまったら、同じケージにいる全ての動物を殺処分しなければならない状況も出てくる。世界の畜産物の20%が感染症によって失われているともされている。
家畜の感染症は、事業者に小さくない経営コストを背負わせ、最悪の場合は倒産を余儀なくさせることもある。それは生産物の不足、価格高騰を引き起こし、私たちの食卓へも影響を及ぼす。


