だって、同じ校舎のコミュニティルームには、放課後とはいえやってきていたからです。
そのうえで、「学校って楽しいことがいっぱいあるんだよ」「○子ちゃんってお絵かきが上手だね」といった投げかけを大人たちがさりげなくしたことも良かったんだろうと思います。
中学に進学して不登校ぎみに
もう一例は、「中1プロブレム」的な話です。
ずいぶん前のことなので、まだ「中1プロブレム」の用語はありませんでしたが。
秋津小学校を卒業した○君は、中学に進学してから不登校ぎみになりました。でも、釣りが大好きでした。そして、中学を卒業して高校生になったある土曜日の夕方のこと。
私たちおじさんがコミュニティルームで遊んでいるところへ、近辺の東京湾へそそぐ河口で釣りあげた大きなスズキを持って○君がやってきました。自宅に寄らずに、です。
なぜやってきたのかはよくわかります。釣果を自慢したいんですね。
おじさんらは、彼が中学生のときに不登校ぎみであったことはよく知っています。でも、そういう話はしません。
「お、○君、すごいね!」とたたえながら、「何センチあるのか測ってみよう!」となりました。すると、いちばん小さなスズキでも52㎝もありました。
さあ、何にでもノリまくるノリノリおじさんたちは、ほめちぎり作戦開始です。
「すごいねえ、1匹ならともかく、5匹も釣りあげるんだから。さすがに○君だ!」
そこにすかさず別のノリノリおじさんが、ゆっくりと、しかしハッキリと彼に聞こえるようにいいました。「う・ま・そ・う・だ・ね!」と。
すると彼は、「じゃあ、いっしょに食べましょう!」とすぐに乗ってきました。ほめちぎり作戦大成功!
そうして、おじさんが刺身にさばいて、スズキは「アレ」とともに、おいしく楽しくみんなの胃袋に納まったのでした。チャンチャン、と。