軍艦の凄まじい建造ペース
南シナ海が中国にとって死活的に重要だということは、中国海軍艦艇の配備状況に見ることができる。
2012年9月、中国海軍初の空母「遼寧」が就役した。現在、上海と大連で合計2隻の空母を建造中である。空母は、駆逐艦、フリゲート、潜水艦とともに、空母戦闘群を形成して行動する。
中国では、中国版イージスと呼ばれる駆逐艦が大量に建造されている。2010年からの4年間で、8隻ものイージス艦が進水する。さらに、最新フリゲートの建造ペースも凄まじい。1999年に1番艦が建造されて以来、すでに16隻が就役している。2010年以降、平均年3隻が就役しており、2014年には4隻が就役予定だ。
すでに契約が終了しているものを考慮すると、2020年から2025年の間に、中国海軍は20隻以上のイージス艦及び40隻前後の最新フリゲートを保有する。しかし、北海・東海・南海艦隊に加え、2個空母戦闘群を運用しようと思うと、これでは足りない。これを埋めるのが比較的小さいコルベットの大量建造だ。大型艦が中国から離れて行動するため、中国近海の防御が手薄になるのを防ぐためである。
中国海軍の「関心」の変化
1990年代には、中国海軍は「北海艦隊が最強」と言ってきた。これは、北海艦隊が首都防衛の任務を帯びていたからだ。陸軍的発想である。侵攻する敵を、島陰に隠れて待ち伏せするといった作戦が考えられていた。当時は、戦略原潜も北海艦隊に配備されていた。
しかし、海軍の意識は、2000年代に入って変化する。2004年当時、海軍の運用を外国海軍から学ぼうという運動が展開されている。また、同じ時期、中国海軍の将校たちは、「台湾が中国海軍の太平洋への入り口になる」ということをよく口にしていた。この言葉は、台湾問題に対する本気度と太平洋への進出の意志を示すものである。
この頃、中国海軍の最新艦艇は東海艦隊に集中して配備されている。ロシアから購入した駆逐艦や潜水艦などだ。当時、中国国産駆逐艦には技術的問題があった。信頼性や性能で勝る艦艇の配備は、中国が、東海艦隊の担当海域における軍事衝突の可能性を認識していたことを意味する。相手は台湾であり、台湾の背後にいる米海軍である。この時期、最新のフリゲートも東海艦隊から配備されている。