食品の科学者から「この文言が食品添加物の正しい理解を妨げている」と長年にわたって言われてきた学校給食の衛生管理基準が文部科学省によってようやく見直されることになりそうだ。その裏には内閣府食品安全委員会や消費者庁の熱意ある努力もあった。
今も食品添加物を不安視する人は依然として多いだけに、今後、文科省がどんな見直しをするのか注視していきたい。
「有害な食品添加物」は誤認のおそれ
これまでたびたび問題視されてきたのは、文部科学省所管の学校給食法に基づく「学校給食衛生管理基準」。この基準は、学校給食の適切な衛生管理に必要な事項を定めたもので、2009年4月に施行された。その基準の中で疑問視されてきたのが「食品の選定」と題して記された以下の事項だ。
「有害若しくは不必要な着色料、保存料、漂白剤、発色剤その他 の食品添加物が添加された食品、又は内容表示、消費期限及び賞 味期限並びに製造業者、販売業者等の名称及び所在地、使用原材 料及び保存方法が明らかでない食品については使用しないこと」
この事項を簡単に言い表すと、「学校給食では、有害または不必要な食品添加物を使用しないようにしてください」ということだ。この文言をめぐっては、当初から「『食品添加物は有害だ』と文部科学省が言っているのと同じであり、学校給食の関係者に対して『食品添加物は危ないもの』と誤認させる恐れがある」といった声が指摘されていた。
また、「そもそも学校給食をはじめ一般の食品に使われている食品添加物はすべて国によって安全性が確認されたものであり、有害な食品添加物が学校給食で使われていることはありえない。もし使われているとしたら、それは食品衛生法違反であり、あえて衛生管理基準に盛り込む必要があるのか」といった声も聞かれていた。
