2025年12月6日(土)

食の「危険」情報の真実

2025年8月4日

 この回答を得た食品安全委員会は「基準全体の見直しに着手する」という文言に注目し、誤解を与える文言がようやく改正される期待感をもった。今後、基準の見直しが具体的にどう進むのか分からないが、文科省がようやく見直しに取りかかるのは一歩前進だといえる。

誤解は解かれるのか

 ただ、食品添加物への誤解は依然として強く、誤認を与える文言がなくなったからと言ってすぐに消費者の心理が変わるわけではない。食品添加物を危険視する参政党が7月の参議院選挙で大きく躍進するなど、まだまだ道のりは遠い。

 09年当時からこの問題を論じ続け、『正しい添加物講義』(ウェッジ)の著書でもある長村洋一氏(藤田医科大学名誉教授・食品化学)は「食品添加物は適正な量を用いれば、全く健康障害がなく、細菌などによる食中毒を防いだり、味を良くしたり鮮度を保つことができる有用性があり、持続可能な開発目標(SDGs)にもつながる。添加物の使用を避けるのが安全であるかのような現在の管理基準が見直される方向のようなので、SDGsが叫ばれている教育現場で今後は添加物に対する偏見のない科学的な内容の基準を普及させてほしい」と文科省の基準改正に期待を込める。

科学とリスクの問題については、書籍『フェイクを見抜く「危険」情報の読み解き方』で、さまざまな事例を挙げながら分かりやすく解説しております。
 
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