2025年12月5日(金)

田部康喜のTV読本

2025年8月7日

また俺は一人暮らしになった

 ネルラはいったん、気を失ったが、横たわったまま目を開けると、死んだ元フィアンセの布勢のそばを通り抜けるスニーカーと細身のジーンズとみえる誰かが、通り抜けるのを思い出したのである。

ネルラ 電気がチカチカして、誰かが歩いていた。

原田  覚えていたの?

ネルラ (布勢と)もみ合って、気を失って、そのうちあの人の後ろを……多分。

原田  第三者がいた。(布勢に)うらんでいたひとやカネを貸していたひとは……。

ネルラ 尋問しないで。警察みたいよ。

原田  君を守るためだよ。検事と被疑者じゃあない。夫と妻。

    なぜ、思い出したときにいってくれなかった。話もしなくなって。

    依頼者に信用されない弁護士ほどみじめなものはない。

ネルラ 弁護士なの?

原田とネルラはまた一緒になることはあるのか?

 原田はふたりの部屋を出て、自分のマンションに戻ることを決めた。

 (「行かないで」と、いわないないんだ)

 (こうして、また俺は一人暮らしになった)

 大石静は、どのような結末を用意しているのだろう。

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