『しあわせな結婚』(テレビ朝日・毎週木曜よる9時)は、ヒットメーカーの脚本家・大石静が、阿部サダヲと松たか子の新婚夫婦をめぐる過去の殺人事件の謎を解き明かす異色のサスペンスである。今期ドラマの最高傑作になる予感がする。
検事出身の弁護士である原田幸太郎(阿部サダヲ)は、独身主義者として50歳を迎えた。交際していた恋人の内藤つばさ(小雪)からホテルのバーで結婚を迫られ、断ると思い切りヒールでふくらはぎを蹴ばされる。このときに血栓ができた。
原田は無罪判決を勝ち取ったことで有名となり、朝のニュースショーのコメンテーターやバラエティ番組などにも出演するようになって世間に知られるようになる。ニュースショーが終わって、帰ろうとした瞬間に原田は胸を押さえて倒れる。血栓が飛んだのである。
九死に一生を得た原田は、人生観に孤独のカゲを感じるようになる。入院中にエレベーターで1階のコンビニに行こうとして乗り合わせたのが、高校の非常勤の美術教師をしている鈴木ネルラ(松たか子)だった。
退院した父・寛(段田安則)の担当医師に礼の品と現金を包んできたのだが、渡しそびれた。その包みを突然、原田に押し付けるようにしてネルラは去っていく。病室に戻った原田は、現金に驚いて包みに入っていた、ネルラの名刺にメールを送る。
「名刺の学校にお送りすればいいですか?」と。なんとたちまち病室のドアを開けてネルラが現れる。「病室の番号もお知らせしていないのに?」という原田に対して「テレビで拝見していますから」と。
病院を去っていくネルラを病室から見ながら「振り返れ、振り返れ…」と、心の中でさけぶ原田。ネルラは振り返った。そして、退院の日に病院の入口でネルラは原田を待っていた。「うちに来ませんか?」と。ふたりは、電撃結婚に至る。
