2024年11月22日(金)

その英会話本、試してみました

2014年5月19日

 特に、身近な生活感覚にあふれる表現や単語を中心に紹介しており親しみやすい。例えば、料理の味を表現するのに、おいしさの度合いに応じて対応する単語を並べてみせる。「激ウマ」は「delicious」、「美味しい」が「tasty」、「イケる」が「nice/good」、「微妙」が「not good」などといった具合だ。

 このほかにも、日常会話での表現力を高めるためのヒントが満載だ。「“very”を使わない強調語を覚えると会話がもっと伝わる!」と題したレッスンでは、次のように説明する。

「とっても寒いね」は “It’s cold”にveryを足して”It’s very cold”となります。でもveryを使わずにcoldの強調のfreezingを使って”It’s freezing”でも「とっても寒い」となるのです。

 これまで、cold(基本形容詞)とfreezing(強調形容詞)と2つの単語をペアにして頭にいれていなかっただけに目からウロコだった。いろいろな例が一覧表にまとめてあるので参考になった。例えば、angry(怒った)を強調する時はfurious、big(大きい)はhugeといった具合だ。こうしたことを整理していると英語での表現をより豊かにできそうだ。さらに、「強調形容詞に”really/absolutely”を付けると、最強の表現になります!」とも付け加え、The spider was really huge!(その蜘蛛は本当に馬鹿デカかったんだ~!)などと例文が出ており、なんだか自分でもその言い回しをすぐに使いたくなる。

本腰を入れて猛勉強するなら…

 「実はコレがネイティブの証! ちょっとした会話のフレーズ」というレッスンも何回か出てきて、現地で生活しただけに、それっぽい表現をまとめており便利だ。「全くダメ、全然ダメだよ…」は「No, there is no point.」と言い、「もう、どうでもいい!」は「I can’t be bothered.」などと、真面目に勉強しているだけでは頭に入ってくる機会がなさそうな例文が満載だ。このほか、「口説き文句とその返し方♪」と題して見開き2ページで説明する箇所もあり、なかなか興味深く読ませる。

 しかし、である。本腰を入れて猛勉強しようという人にはお勧めしない。本書『秘密のノート』を買うくらいなら、わたしは本コラム連載初回でとりあげた『一億人の英文法』の方を買う。本書『秘密のノート』が1200円で120ページ余りの分量に対し、『一億人の英文法』は1800円で650ページ超だ。情報量が全く違う。居酒屋で生ビール1杯ほどの金額の差が、これだけの情報量の違いに相当するなんて。立ち読みしてもらえれば分かるが、例文の量や解説の質なども、わたしは『一億人の英文法』に軍配をあげたい。特に、まじめに英語の勉強に取り組みたいサラリーマン諸氏には文句なく、本書より『一億人の英文法』をすすめる。


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