2026年2月8日(日)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2025年9月1日

資源戦略の失敗
レアメタル開発の停滞と中国の台頭、そして巨額投資による活路

 1970年代から80年代にかけて、日本はレアメタルの国家備蓄や海外鉱山開発に積極的に投資した。しかし、1990年代以降、資源価格の低迷やバブル崩壊の影響を受け、資源戦略は後退した。独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)のデータによれば、日本の海外鉱山権益取得件数は低迷している。結果として、レアメタルの多くを輸入に依存する構造が固定化し、中国の台頭を許す結果となった。世界のレアアース生産量の約7割は中国が占めており(2024年時点)、供給リスクが顕在化している。

 日本の資源戦略の停滞は、ハイテク産業の競争力低下に直結したと言える。巨額投資を資源戦略に活用することで、この状況を打破できる可能性がある。具体的には、JOGMECへの更なる資金投入、海外鉱山権益の取得、レアメタル精製技術の開発、リサイクル技術の高度化などが考えられる。また、日米豪印戦略対話(Quad)などの枠組みを通じて、中国依存からの脱却を図る国際的な資源外交も重要である。

国際的な人材交流の停滞とチャレンジ精神の衰退
内向き志向からの脱却

 円高と国内の経済停滞は、若者の海外留学の機会を減少させた。日本学生支援機構(JASSO)の調査では、日本の海外留学者数は減少傾向にあり、特に長期留学の減少が顕著である。留学者数の減少は、国際的なネットワーク構築やグローバル人材育成の機会損失に繋がった。また、終身雇用制度の崩壊や将来への不安は、若者のチャレンジ精神を阻害する要因となった。

 内閣府の調査でも、日本の若者の起業意欲は主要先進国の中で低い水準にあることが示されている。巨額投資の一部を、若者の海外留学支援、外国人研究者の招聘、国際的な共同研究プロジェクトの推進などに充てることで、グローバルな人材交流を活性化し、日本の若者に国際的な視野とチャレンジ精神を醸成することが重要である。

巨額投資
外圧をチャンスに変える戦略

 トランプ大統領によって提唱された巨額投資構想は、その真意はさておき、日本にとって大きなチャンスとなり得る。この投資を、単なる財政支出としてではなく、国家戦略に基づく「未来への投資」として活用することで、「失われた30年」からの脱却、そして真の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の復活を目指すことができる。

 この巨額投資を最大限に活用するためには、明確なビジョンと戦略、そして強力なリーダーシップが必要である。過去の失敗を繰り返さないためにも、産官学が一体となり、長期的な視点に立った国家戦略を策定し、実行していくことが不可欠である。

「失われた30年」の反省を踏まえ、長期的な視点に立った戦略的な投資と改革を実行することで、日本は再び世界をリードする存在となり得る。そしてそれは、単なる経済成長に留まらず、持続可能な社会の実現にも貢献する。巨額投資という「外圧」を、日本再生の起爆剤とするか、それとも単なる「泡銭」として浪費してしまうのか。それは日本の政治的リーダーシップにかかっている。


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