2026年2月8日(日)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2025年9月1日

日本が持つ「羅針盤」の針を動かすために

 冷戦時代、中東やアジアの資源国は、西側諸国にとって地政学的に重要な存在だった。その安定した関係を維持することが、西側諸国全体の経済と安全保障にとって不可欠だったのである。

 現代において、日本の地政学的な重要性は増すばかりである。だが、これまでの日本の政治は、自国の強みを活かしきれてこなかった。特に、アラスカの天然ガスや南鳥島のレアアース泥といった、国家の命運を左右する資源開発において、受け身の姿勢が目立った。

 しかし、旧態依然とした政治体制から脱却する時が来ている。トランプ政権の「外圧」を単なる脅威と受け取るのではなく、日本が持つ力を交渉のテーブルに乗せ、長期的な国益を勝ち取るためのチャンスと捉えるべきだ。具体的には、アラスカでの天然ガス共同開発を、日米のエネルギー安全保障を確固たるものにするための戦略的な柱と位置づける。そして、中国が独占しているレアアース資源についても、南鳥島の広大なEEZ(排他的経済水域)に眠るレアアース泥の日米共同開発を積極的に提案すべきである。

 これは、単なる資源獲得の話ではない。日米の経済的な結びつきを強化し、アジアにおける日本の地政学的なプレゼンスを高める、新しい経済外交の始まりなのである。これにより、日本は受け身の立場から脱却し、能動的に国際情勢を動かすプレイヤーへと変貌することができるだろう。

援助は投資、未来への種まき

 冷戦時代、アメリカのマーシャルプランは、単なる経済援助ではなく、西側諸国の経済を復興させ、自由主義陣営の結束を強めるための戦略的な「投資」だった。この援助によって貿易は活性化し、各国は経済的に発展する機会を得た。

 2025年に向けて、日本もこの歴史の教訓を活かすべきである。アメリカとの関係強化には、単に相手の要求に応じるだけでなく、双方が利益を得られるような**戦略的な「投資」**を仕掛けることが重要だ。80兆円ものアメリカへの投資や、不均衡な利益配分を是正することで、日本はアメリカとの関係をより対等なものにし、真の地域協力のパートナーシップを築くことができる。歴史が教えてくれるのは、援助とは見返りを求める投資であり、未来の安定を築くための「種まき」だということだ。

最後に、山師の心得

 山師は、目の前の鉱脈だけでなく、その先の地層や岩盤の構造まで見通す。国際社会という広大な山も同様である。短期的な経済の変動だけでなく、過去の歴史という地層を読み解くことで、未来の鉱脈、すなわち新たなチャンスを見つけ出すことができる。

 1980年代の教訓は、現代の私たちが直面する問題を理解し、解決策を導き出すための貴重な手がかりとなる。トランプ関税という外圧を、日本の抜本的な戦略を決定する絶好の機会と捉え、過去の教訓を活かして未来の展望を切り開く。それこそが、この激動の時代を生き抜く「山師」に求められる、最も重要な心得なのである。

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