2025年12月5日(金)

田部康喜のTV読本

2025年8月30日

 井鷺がプロデュースしているロック歌手の櫻井ユキノ(髙石あかり)と藤谷の関係の紆余曲折、ユキノが歌手引退の瀬戸際まで自分を追い込んだシーンは狂気に満ちた見事な演技である。髙石は次期の朝の連続テレビ小説『ばけばけ』において、小泉八雲の妻役を演じる。『ベイビーわるきゅーれ』シリーズで殺し屋を演じてスターのきっかけをつかんだ、髙石にとって『グラスハート』によって、世界にデビューを先に果たしたことは喜ばしい。

Netflixシリーズ「グラスハート」Netflixにて独占配信中

 さまざまな伏線がからみあって、観る者をひきつける。そして、脚本は全体として「倒叙法」つまり、最初のシーンの意味とそれに行きつく過程をのちに明らかにする手法がとられている。

 なぜ、藤谷は冒頭の土砂降りの雨のなか、舞台のピアノに飛び込むように弾き始めたのか。藤谷の病の謎は。最後のコンサートまでたどり着けるのか。

スピンオフでアジアツアーも

 そして、創作のロックバンド『TENBLANK』は、現実のものになった。ドラマの中で演奏された楽曲が『GLASS HEART』のタイトル、演奏が『TENBLANK』の名前で7月末にリリースされた。藤谷(佐藤)や高岡(町田)らの歌声を聴くことができる。

 さらに、主役の佐藤健の単独公演ながら『TENBLANK from “Glass Heart” FAN MEETING』としてアジアツアーが開催されることが、8月16日に発表された。台北、ソウル、香港、バンコクで行われる。

 ドラマの楽曲の提供者が、いまの日本の音楽シーンを彩っているアーティストである。RADWIMPSの野田洋次郎、ONE OK ROCKのTakaら。

 最後に『グラスハート(Glass Heart)』の意味とは。最終話のなかで、藤谷(佐藤)のセリフによって明らかになる。主人公の言葉として意外でもあったが、納得できた。

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