佐藤健の静かなセリフと叫ぶようなセリフ
朱音をメンバーに誘う藤谷に対して、「私はドラムをやって間がないし、それにうまくはない」と断ろうとする。
「それが何。音楽には、キャリアとかうまいとか下手とか関係ないよ。身体の中から出てくる音が大切なんだよ」と。
佐藤健の演技は、これまでのイメージを刷新する。「ごめんね」「僕は人の気持ちとかよくわからなくて」…と静かなセリフが続いていく。
しかし、音楽シーンでは一転して叫ぶようなセリフで、緊張感を高まる。
『TENBLANK』初のレコーディングシーン。朱音に何度もダメ出しをする。どのようにしたらよいのか尋ねても答えはない。
「もうひとりの朱音ちゃんをここに連れてきてよ!」
LPのレコーディング。ギタリストの高岡(町田)にも何度もやり直しを指示する。
「お前は天才だから、俺はその音楽に敬意を払っているんだ。どのように弾いたらいいか、教えてくれよ!」
「天才って、やめてくれよ!僕の音楽を壊して欲しいんだよ!」
高岡がこれまでとはまったく違うタッチで弾くと、藤谷はOKをだす。
録音室から出てきた藤谷を手押し車に乗せて「さぁ、なにか食べるか、それとも病院で点滴を受けるか」と。藤谷は徹夜を続けて何も食べずに、吐くだけになっていた。
藤谷の体調の問題が、ドラマの重要な伏線となっていく。最終回の第10回の『TENBLANK』をはじめとする登場人物たちの野外ロックフェスティバルの感動的な場面に向けて、ドラマはその展開の速度を上げていく。
最終回への伏線と展開
藤谷と一時は一緒に音楽活動をしていたプロデューサーの井鷺一大(藤木直人)による、『TENBLANK』の活動に対する妨害工作。『TENBLANK』の一時はボーカルを担当する予定だった、マネジャーの甲斐弥夜子(唐田えりか)による嫉妬と離脱。ちなみに唐田もまた、大ヒットしたNetflix配信の『極悪女王』(2024年)において、女子プロレスのかつての人気選手・長与千種役をこなした。
