「英語を勉強しなくても世界に観てもらえる」
4人は、米国の動画配信大手・Netflix(ネットフリックス)が日本でのサービス開始から10周年を記念したトークパネル「Creators' Spotlight(クリエイターズ・スポットライト)」で実写作品に携わるクリエイターの代表として登壇した。
ネットフリックスはアジア進出の拠点を日本とし、15年9月1日に日本でのサービスを開始。米国以外での初のコンテンツチームを立ち上げた。これまで、宇多田ヒカルの楽曲「First Love」と「初恋」にインスパイアされて制作された『First Love 初恋』や、1980年代の女子プロレスブームを巻き起こしたダンプ松本の知られざる半自伝ドラマ『極悪女王』、マンガ「幽遊白書」や「シティーハンター」の実写化といったオリジナルコンテンツを制作・配信し、話題を呼んでいる。この夏に配信された『グラスハート』は、ドラマ内のロックバンドの楽曲が発売され、主演の佐藤健氏によるライブツアーも開催される波及効果を生んでいる。
こうしたネットフリックスオリジナル作品が注目されるきっかけの一つにもなった『全裸監督』。主演した山田氏は二つ返事で出演を受けた。
「当時、日本以外の作品にでるチャンスを求めて英語を勉強していたのだが、日本のコンテンツとして世界に観てもらえるなら、その方が早いと思った。言語とカルチャーが異なると、どうしても自分本来の芝居ができない。配信という形なら、ありのままの実力で、世界に対して自分の価値を試せると思った」
『全裸監督』が配信されたのは2019年で、企画当時はまだネットフリックスが業界でも広くは知られていなかった。山田氏に出演を止める人も少なくなかったが、「だからこそ、チャンス」と前に進んだ。配信後、海外に行くと、「Are you Netflix」と声を掛けられ、いまやネットフリックスを象徴する俳優の一人となった。
映画監督の藤井氏は、そうした日本のコンテンツチームが発足したばかりの9年前に〝チャレンジ枠〟として作品に携わるようになった。
「まだ、何者でもない映画青年だった自分がネットフリックスで制作した作品を配信したことで、海外のクリエイターたちから連絡がたくさんくるようになった。これまでドメスティックな空間でしか作品を作っていなかったことを痛感するとともに、海外に名が知れるには、海外の映画祭に出品しなければいけないという固定観念もなくなった」と振り返る。
