2025年12月5日(金)

Wedge REPORT

2025年9月7日

 日本のコンテンツは確実に世界に届いており、ネットフリックスにおける世界での日本作品の総視聴時間は250億時間にのぼる。アジアからラテンアメリカまで93カ国で日本作品が視聴ランキングトップ10入りを果たす。

〝海外に向けて発信する場〟を常に意識

 どのような作品が世界で人気を得られるのか。世界で最も観られる日本ドラマとなっている『今際の国のアリス』シリーズの監督を務める佐藤氏は、まだ日本でネットフリックスが知られていない時期からオリジナルコンテンツの制作に携わっている。「手探りの時間も多い中で、〝海外に向けて発信する場〟であることが常に念頭に置かれていた。日本のことをあまり知らない人、日本の文化をわかっていない人にも伝わるかを考えながらの脚本づくりをしたのは初めてだった」と話す。

佐藤信介(さとう・しんすけ):1970年生まれ。漫画『僕のヒーローアカデミア』をハリウッドで実写映画化する企画で、監督を務めることが発表されている

 藤井氏も「良い脚本を作らないとクランクインができない。自分たちが納得するものを妥協なく作りこんでからキャスティングをする。俳優ありきといった形ではやらない。世界水準に達しているのか、妥協なき審査がされている」と現状を指摘する。

 映像のクオリティーにも余念がない。莫大なコストがかかる空撮においても、納得のいかない映像だったら、ネットフリックス側から撮り直しの依頼をすることもあるという。

 テーマも重要だ。実際に起きた巨額詐欺事件を題材としたドラマ『地面師たち』は、「もうええでしょう」というセリフが配信された24年の流行語大賞のトップ10にも入るほどの社会現象となった。このドラマの企画・脚本・監督を務めた大根氏は日本のテレビ局にも企画を提案していたという。

大根仁(おおね・ひとし):1968年生まれ。『モテキ』で映画監督デビュー。2022年にはドラマ「エルピス-希望、あるいは災い-」がギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞

 「最初は映画やテレビドラマでやろうと思っていたが、なかなか企画が通らなかった。そんな中、ネットフリックスに提案したら、『即決』と言って良いぐらいの反応で採用してくれた」

 従来のメディアでは踏み込みにくい、描かれにくいようなテーマに挑戦することも必要なのだろう。それが未踏の世界観を生むことにもなるし、世間を揺さぶる作品を生むことにもつながるとトップクリエイターたちは考えている。


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