2025年12月5日(金)

「永田町政治」を考える

2025年9月8日

 首相は7月の参院選での勝敗ラインを、与党である自民、公明両党の非改選議員とあわせて過半数を確保できる50議席と設定していた。結果は47議席、与党の衆参両院でそれぞれ過半数割れという初めての事態を引き起こした。

 本来ならただちに退陣表明となるところだが、首相は日米関税交渉など重要な政策課題への責任を果たすことを理由に続投を表明。総裁選の前倒しを求める声が強くなると、「地位に恋々としない。しかるべき時に決断する」と述べ、適当な時期に退くことをにおわせた。

 しかし、日米関税交渉が妥結した後も、トランプ大統領に訪日を招請する親書を送る一方、経済対策策定を指示するなど政権への執着を見せていた。

首相擁護につながった派閥中心の「石破おろし」

 石破おろしの圧力に屈した格好になったが、退陣を求める勢力の動きは執拗だった。党内で唯一、派閥を継続する麻生派、自民党大敗の原因のひとつとなった裏金問題の震源地、旧安倍派、旧茂木派などが中心となって総裁選の前倒し実施を主張した。

首相は「石破おろし」に耐えられなくなった形だ(首相官邸HPより)

 こうした動きが首相への同情につながり、「石破やめるなコール」や世論調査での支持率アップの一因になったことも否定できない。

 野党は、自民党の動きを批判するだけで、自ら野党の一本化をはかり、非自民の連立協議など政権担当準備完了をアピールするでもなく、拱手傍観だった。 野党が脅威とならなければ、自民党は憂いなく権力闘争に憂き身をやつすことができる。

後継は誰に?

 これが7日までの混乱の動きだが、自民党内での対立が先鋭化して以来、重要政策課題である物価高対策、企業・団体献金など積み残しになっている政治改革、ガソリン税の級暫定税率廃止、高校授業料無償化の拡大問題など与野党の協議が停滞したままだ。こうした政治空白が続く中で、後継選びに誰が名乗りを上げるか、総裁選の形式をどうするかなどが当面の焦点となる。

 「次」をめざす候補は今後、名乗りを上げてくるとみられるが、昨年の総裁選を戦った8氏が軸に選挙戦が展開されると予想される。総裁選の形式は、一般党員を交えた投票という通常の形式か、総裁が途中で辞任した非常事態として党所属国会議員と都道府県代表だけによる投票かなど実施形式などが焦点となる。

 これらにあわせて、首相指名選挙での野党の一本化が実現するのか、それができない場合は、どういう方針をとるのかなども今後の展開を大きく左右する。少数与党であることを考えれば、野党の協力を得られる人物でなければ、任に堪えられない。


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