かつての〝40日抗争〟、〝三木おろし〟の様相を呈してきた。参院選での敗北後、石破茂首相(自民党総裁)が続投を宣言したことに対し、退陣要求が広がっている。一方では、「辞めるな」運動も台頭、党内抗争は、激しさを増す一方だ。
石破首相への退陣要求が出ている一方、「やめるな」と主張するデモも展開されている(産経新聞社)
政権奪還のチャンスがめぐってきたにもかかわらず、動きが鈍い野党の存在もこうした動きに拍車をかけている。1970年代、80年代の権力闘争を繰り返す与党の後進性と野党の無力さは、ほとんど救いがたい。
果たすべき責任とは?
続投宣言した石破首相が「責任を果たす」と繰り返すのを見て、突飛な話だが、忠臣蔵の大石内蔵助を思い出した。
主君を辱め、切腹に追い込んだ宿敵への仇討ちを決意しながら、気取られるのを避けるため放蕩の限りを尽くすふりをして、周囲から罵倒された播州赤穂藩の家老だ。退陣を拒否、党内からの非難にさらされている石破氏と、内蔵助の胸の内は同じかもしれない。
首相が関税交渉の完全合意を見届けた時点で退陣するなら、侮蔑のなかで見事、本懐を遂げた内蔵助に比較されることもあろう。
実際、自民党の中には「首相も続投が不可能なことはよく知っている。しかし、関税交渉の詰めが残っている現状では、退陣を口にできない。完全合意に達するまでは、続投と言い続けなければ求心力を失ってしまう」という首相に好意的な見方がある。
一方、3連敗にかかわらず、長期的に居座るつもりなら、内蔵助どころか、その評価は地に落ち、名声にも大きく傷がつく。
