2025年12月5日(金)

「永田町政治」を考える

2025年7月31日

 首相は7月29日の自民党役員会で、前日の衆参両院議員懇談会に関して、「厳しい意見が出た。真摯に受け止め、党、政権運営に反映させていく」と述べたが、進退に言及するのを避けた。

 28日の議員懇談会では、今回の惨敗ついて「お詫び申し上げる」としながらも、「果たすべき責任を果たしていく。(続投の意思に変化は)ございません」と述べ、強い意志を表明した。

 首相は参院選投開票日翌日の7月21日の記者会見で、続投で取り組む政策課題として、関税交渉のほか物価高対策、社会保障、そして大地震に備えた防災対策などを挙げた。それだけの課題を解決するとなれば短期の続投では不可能。やはり首相は長期の居座りを画策していることをうかがわせる。

野党は政権奪取の意思なし?

 首相が職務遂行にこだわる背景には、世論の動向もあるのかもしれない。SNSでは、「石破辞めるな」との投稿が少なくなく、首相官邸前ではプラカードを持った人々が首相を激励する光景も見られた。

 朝日新聞の世論調査でも「首相は辞めるべきだ」が41%に対し「辞める必要はない」が47%にものぼっている(7月28日朝刊)。

 首相自身、「国民世論とわが党の考えが一致することが大事だ」(議員懇談会後、記者団に)とも述べ、石破おろしが必ずしも国民の意志に沿うものではないとの強気の見方を示している。

 一方、自民党が公然と抗争を展開しているのは、無気力な野党の存在も影響しているようだ。自民党が衆参両院で過半数を割ったいま、政権奪還のチャンスであり、野党間の連立協議も真剣に行われなければならないところだが、「議員は参院選のあいさつ回りに忙しく、議員会館はひっそりしている」(閣僚経験のある野党幹部の事務所)という状態である。「進むにせよ、辞めるにせよ速やかに方針を決めてほしい」(国民民主党・玉木雄一郎代表)など政権奪還の意欲はまったく伝わってこない。

 野党に政権を奪われる心配がないとなれば、自民党は悠々と権力闘争を続けるだろう。


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