「いばらの道」どう乗りきる
自民党内ではこれまでも、選挙敗北、人気低迷にかかわらず、総理総裁が居座りを画策したケースは何度かみられた。
ロッキード事件の処理をめぐって四面楚歌に置かれた三木武夫首相(当時)が粘り腰を見せて退陣を拒否し続けた「三木おろし」(1976年)、 総選挙で敗北した大平正芳首相(同)が続投を宣言、首相指名選挙に自民党内から二人が立った「40日抗争」(79年)などだ。
三木おろしでは最終的に自民党が総選挙で敗北、氏は退陣に追い込まれた。40日抗争では、いったん終息した後の翌年、内閣不信任案が可決され、衆参同日選挙のさなかに大平氏が急死するという悲劇的な展開をたどった。
石破おろし、党内情勢は刻々と変化している。
石破首相は「これからはいばらの道だ」(7月21日の記者会見)と述べ、苦難の行く手を自覚していることをうかがわせたが、最終的にどう決断するのか。首相自身も決断できずにいるのかもしれない。
退陣勢力が求める衆参両院議員総会が近く開かれる。議員懇談会で、退陣表明を回避できたことや、擁護する声も予想外に強いことから、首相は自信を持ちつつあるという見方も出ている。
視線の先にあるのは永田町や自らの利益だけ。果たすべき国民への責任をあえて見ず、権力闘争にだけあけくれる政治家。厳しい国内外の情勢に、日本の政治はこのままで良いのだろうか。
